資産要件上の留意点
よくいただくお問い合わせの中に次のような質問がありますので、今回は整理してお伝えしたいと思います。
労働局への提出資料の中に、直近の税務申告書があります。直近の税務申告書で資産要件を満たしていない場合には、公認会計士の監査証明か合意された手続実施報告書が必要となります。
よく誤解をされる方がいらっしゃいますが、その1
直近の税務申告書で資産要件をみたしていない場合でも、その後の月次決算書で資産要件を満たす必要があります。資産要件を満たしている月次決算書がない場合には、合意された手続実施報告書又は監査証明を発行しても意味はありませんので、派遣事業の更新ができないことになります。派遣事業を継続するためには、提出する税務申告書の提出した翌月の月次決算書から、労働局の提出期限となる前月の月次決算書までで資産要件を満たしている月次決算書が必要となります。
よく誤解をされる方がいらっしゃいますが、その2
預金を増加させることはできません。資産要件のうち、預金だけを満たして以内場合には、会計上どのように処理しても預金を増加させることはできません。従って、監査証明を等を発行できる月次決算で一番重要なのは、預金残高が要件を満たしていることが最重要です。その上で、基準資産額を満たしていない場合に、役員借入金等の免除による債務免除益等を計上することにより基準資産額を増加させることができるのです。しかし、預金は銀行残高証明書により、その残高が確定してしまいますので勝手に増加させることはできません。
よく誤解をされる方がいらっしゃいますが、その3
時価のある有価証券を保有している場合には、時価評価することも可能となります。有価証券の取得価額(簿価)が時価より低い場合には、評価益を計上することにより基準資産額を増加させることができます。その時に今年の最高値で時価評価することはできますかと言われることがあります。結論から言うと対象となる月次決算日の時価で評価替えする必要があります。従って、前月は評価益がでていたけど、当月は評価損がでることも考えられます。そのため、時価換算できるような資産(時価のある有価証券、外貨建て資産・負債)をある程度保有している場合には、その時価についても留意が必要になります。
関連記事
お役立ち情報一覧はこちら