派遣事業の許可を受けた後、商号・住所・代表者・役員などに変更が生じた場合は、労働者派遣法に基づいて事業主管轄労働局へ「変更の届出」(事後届出)を行う必要があります。これは許可の更新申請とは別の手続きで、変更が生じるたびにそのつど届け出るものです。この記事では、届出が必要な変更の範囲、届出先、タイミングの目安、更新申請との関係を整理します。
この記事の要点
- 事後届出は許可申請とは別の手続き。商号・住所・代表者・役員変更等で必要(労働者派遣法第11条)
- 届出先は事業主管轄労働局(本社所在地を管轄する労働局)が基本
- 届出は「遅滞なく」が原則。具体的な日数は管轄労働局への確認が確実
- 更新申請は許可満了日の3か月前までが原則。変更届とはタイミングのルールが別
- 変更届の未提出があると、次回更新申請の審査で指摘を受けることがある
事後届出とは
事後届出とは、労働者派遣事業の許可を受けた事業主が、商号・住所・代表者・役員などに変更があった場合に、労働者派遣法に基づいて事業主管轄労働局へ行う「変更の届出」のことです。許可申請そのものとは別の手続きで、変更が生じるたびに行います。
労働者派遣法第11条は、許可申請書に記載した事項に変更があったときは、遅滞なくその旨を届け出るよう定めています。許可を取得した時点で終わりではなく、その後の変化をそのつど労働局に反映させていく仕組みだとイメージすると分かりやすいでしょう。
労働者派遣事業の許可申請書に記載した事項に変更があったときは、事業主は遅滞なくその旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第11条(e-Gov法令検索)
どんな変更があったときに届出が必要ですか?
届出が必要になるのは、許可申請の際に届け出た内容に変更が生じた場合です。代表的なものは、商号(名称)・住所・代表者の氏名・役員の氏名や住所・労働者派遣事業所の名称や所在地・派遣元責任者の氏名や住所などです。
厚生労働省の手続マニュアルでは、対象となる変更事項と必要な手続を次のように整理しています。
| 変更の事項 | 主な手続 |
|---|---|
| 商号(名称)・住所 | 変更届出+許可証の書換申請 |
| 代表者の氏名 | 変更届出+許可証の書換申請 |
| 代表者以外の役員の氏名・住所 | 変更届出 |
| 労働者派遣事業所の名称・所在地 | 変更届出+許可証の書換申請 |
| 派遣元責任者の氏名・住所 | 変更届出 |
| 事業所の新設・廃止 | 変更届出(新設は事前相談が必要) |
出典:厚生労働省「労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル-」(変更の届出に関する記載を基に作成)
事業所の新設・廃止は許可基準を満たしているかの確認が伴うため、変更が生じてから届け出るのではなく、計画段階で早めに労働局へ相談しておくと当日になって慌てずに済みます。
届出先はどこですか?
届出先は、原則として本社の所在地を管轄する「事業主管轄労働局」です。
一方で、事業所の名称・所在地の変更や派遣元責任者に関する変更など一部の事項については、事業所の所在地を管轄する「事業所管轄労働局」でも受け付けています。どちらの窓口に出すべきかは変更の内容によって変わります。
複数の都道府県に事業所を持つ事業主の場合、どの窓口に提出すればよいか判断に迷うケースもあります。書類を持って出向く前に、電話で管轄と必要書類を確認しておくと二度手間を防げます。
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届出はいつまでに行えばよいですか?
届出は「変更が生じてから遅滞なく」行うのが原則です。変更の事項ごとに届出までの期間の目安が定められています。
厚生労働省の手続マニュアルには変更事項ごとの目安期間が示されていますが、法令や運用の改定によって扱いが変わる可能性があります。正確な日数は、届出の前に事業所を管轄する労働局へ確認しておくのが確実です。
実務では、代表者の交代を決議した株主総会の直後など、変更が確定した時点で早めに労働局へ連絡し、必要書類の案内を受けておく事業主が多いです。期限ぎりぎりで慌てて書類を揃えるより、確定した段階で動き出したほうが手戻りが少なくなります。
変更届と更新申請はどう関係しますか?
変更届と更新申請は別の手続きです。ただし、更新申請の審査では許可証の記載内容と現況が一致している必要があるため、未提出の変更届が残っていると更新の場面で指摘されることがあります。
更新申請は、許可の有効期間満了日の3か月前までに行うのが原則です。これは事後届出の「遅滞なく」というルールとは別のタイミングの話であり、両者を混同しないよう注意が必要です(出典:厚生労働省「許可・更新等手続マニュアル」)。
実務上は、更新の準備で決算書類や登記事項証明書を整理するタイミングに合わせて、これまでの変更届が漏れなく提出済みかを棚卸しする事業主が少なくありません。当センターでも更新のご相談をお受けする際、監査証明や合意された手続の準備と並行して変更届の状況を一緒に確認しています。
届出はどのような流れで進めますか?
初めて変更届を出す場合は、次のような流れで進めると迷いにくくなります。
- 変更内容を確定する(株主総会議事録・登記事項証明書などで事実関係を確認)
- 届出先(事業主管轄労働局・事業所管轄労働局)を確認する
- 必要な届出書・添付書類を準備する
- 許可証の書換えを伴う変更かどうかを確認する(商号・住所・事業所名称等が該当)
- 労働局の案内に従って提出する(持参・郵送等)
- 受理後の控えを保管し、次回の更新申請の際に参照できるようにしておく
FAQ(よくあるご質問)
Q1. 変更届を出し忘れていたことに後から気づいた場合はどうすればよいですか?
気づいた時点で速やかに管轄労働局へ相談し、必要な届出を行うのが基本です。放置すると、次回の更新申請で現況との不一致を指摘され、追加の説明や書類提出を求められることがあります。心当たりがある場合は早めの確認をおすすめします。
Q2. 事後届出の提出に手数料はかかりますか?
変更届出書の提出自体には手数料がかからない場合が一般的ですが、許可証の書換えを伴うケースなど、変更の内容によって取扱いが異なることがあります。正確な要否は管轄労働局にご確認ください。
Q3. 役員が複数人同時に変わった場合、届出は1回でまとめられますか?
同一のタイミングで生じた複数の役員変更であれば、まとめて1つの届出で対応できるのが一般的です。ただし変更の発生時期が異なる場合は別々に届け出る必要があるケースもあるため、複数の変更が重なるときは事前に労働局へ確認すると安心です。
Q4. 有料職業紹介事業でも同様の届出は必要ですか?
はい。有料職業紹介事業についても、職業安定法に基づき許可事項の変更を届け出る仕組みが設けられています。労働者派遣事業とは担当窓口や様式が異なる場合があるため、両方の許可をお持ちの事業主様は、それぞれの制度で必要な届出を別々に確認することをおすすめします。
Q5. 事後届出は社内の総務担当者だけで対応できますか?
必要書類が揃えば、事業主自身や総務担当者による届出で対応できる場合が多いです。ただし、事業所の新設のように許可基準の充足確認が絡む変更は準備に時間を要することがあります。更新申請と時期が重なる場合や判断に迷う場合は、専門家に相談しながら進めると手戻りを防げます。
変更届の対応や更新申請の準備は、まとめてご相談いただけます
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