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監査証明を顧問税理士に頼めない理由

2026-07-20(最終更新:2026年7月21日)
監査証明を顧問税理士に頼めない理由

派遣事業の許可・更新に必要な監査証明・合意された手続(AUP)は、決算書を作成した顧問税理士には依頼できません。証明する側とされる側を分ける「独立性」のルールがあるためです。外部の公認会計士に依頼すれば解決でき、顧問税理士との契約はそのまま続けられます。

この記事の要点

  • 決算書を作成した会計士・税理士は、その決算書の監査証明・AUPを担当できない
  • 根拠は公認会計士法上の独立性のルールとJICPA実務指針4450準拠の業務であること
  • 「顧問税理士が決算書作成→外部の公認会計士が証明」の役割分担が正常形
  • 顧問契約は継続でよく、税理士を変える必要はない(当センター実績200件超)

監査証明の独立性とは

監査証明の独立性とは、決算書を証明する公認会計士が、その決算書の作成に関与していないことを求めるルールです。自分で作った書類を自分で証明しても第三者のチェックにはならないため、公認会計士法上の独立性のルールにより「作る人」と「証明する人」の分離が求められています。

派遣事業の許可・更新で資産要件を満たさない場合などに提出する監査証明・AUPも、この独立性を前提とした業務です。日本公認会計士協会は派遣事業向けAUPの拠り所となる実務指針を公表しています。

専門業務実務指針4450「労働者派遣事業等の許可審査に係る中間又は月次決算書に対する合意された手続業務に関する実務指針」
出典:日本公認会計士協会(2018年12月20日公表)

なぜ顧問税理士に監査証明を頼めないのか?

結論として、顧問税理士は決算書の「作成者」側にいるため、同じ決算書の「証明者」にはなれません。顧問税理士は日々の記帳指導や決算書の作成、税務申告に深く関与しています。その本人が決算書の正しさを証明すると、自己チェックにしかならず証明の意味が失われるためです。

労働者派遣事業の許可・更新は厚生労働省(労働局)への申請手続であり、審査で使われる決算書類には客観性が求められます。制度の概要は厚生労働省「労働者派遣事業・職業紹介事業」のページで確認できます。なお、監査証明・AUPを実施できるのは公認会計士(監査法人)であり、税理士資格のみの顧問には資格の面でも依頼できません。

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顧問税理士との関係はどうなる?

顧問税理士との関係は何も変わりません。「決算書は顧問税理士が作成し、その決算書を外部の公認会計士が証明する」という役割分担こそが制度の想定する正常な形であり、顧問契約を解消したり税理士を変更したりする必要はまったくありません。

両者の役割の違いは次の表のとおりです。

業務 顧問税理士 外部の公認会計士
記帳・決算書の作成 担当する 関与しない
税務申告 担当する 関与しない
監査証明・AUP 担当できない 担当する

外部の公認会計士に依頼する場合の流れは、次の3ステップです。

  1. 顧問税理士が決算書(中間・月次決算書を含む)を作成する
  2. 外部の公認会計士が資料を確認し、監査証明またはAUPを実施する
  3. 発行された報告書を許可・更新の申請書類に添付して労働局へ提出する

派遣事業更新センターへのご依頼も、大半がこの「顧問税理士+外部会計士」のパターンです。必要資料のやり取りなど顧問税理士との調整も当センターが直接行うため、事業主様の手間はほとんどかかりません(支援実績200件超)。必要書類の全体像は派遣事業更新の必要書類一覧のチェックリストで確認できます。

「まとめて引き受けます」に注意すべき理由は?

「決算書の作成から監査証明までまとめて引き受けます」という提案には注意が必要です。作成と証明を同じ事務所が担うことは独立性の考え方と相容れず、そのような提案をする事務所は独立性の理解に不安があると言わざるを得ません。審査側から書類の客観性を疑われれば、かえって手続が滞るおそれもあります。

依頼先を選ぶ際は、独立性への理解に加えて派遣事業のAUP経験・スピード・料金を比較するのが確実です。比較の観点は派遣監査証明の依頼先の選び方で詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)

顧問税理士に監査証明を断られたのは、顧問契約に問題があるからですか?

問題ありません。決算書を作成した顧問税理士がその決算書の監査証明・AUPを断るのは、公認会計士法上の独立性のルールに沿った正しい対応です。むしろルールを理解している誠実な税理士といえます。外部の公認会計士に証明部分だけを依頼すれば解決します。

監査証明のために顧問税理士を変える必要はありますか?

顧問税理士を変える必要はありません。決算書の作成・税務申告は従来どおり顧問税理士が担当し、監査証明・AUPだけを外部の公認会計士に依頼する役割分担が、派遣事業の許可・更新における通常の形です。

外部の公認会計士に頼むと、顧問税理士とのやり取りは自分で行うのですか?

派遣事業更新センターにご依頼いただいた場合、試算表や勘定明細など必要資料の依頼・調整は当センターが顧問税理士と直接行います。ご依頼の大半が顧問税理士のいる会社であり、調整には慣れていますので、事業主様の負担はほとんどありません。

監査証明やAUPは税理士にも依頼できますか?

派遣事業の許可・更新に使う監査証明・AUPを実施できるのは、公認会計士または監査法人です。税理士資格のみの事務所には依頼できません。依頼先を探す際は、公認会計士であること、かつ自社の決算書作成に関与していない外部の会計士であることを確認してください。

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この記事の執筆者
田中伸一(公認会計士・税理士/公認会計士登録番号18245/田中公認会計士事務所・派遣事業更新センター)
派遣事業・職業紹介事業の監査証明・合意された手続(AUP)を専門とし、支援実績200件超(当事務所受任案件の実績)。田中伸一のプロフィール
※これまでの実績であり、将来の結果を保証するものではありません。
公開日:2026年7月20日

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