
派遣事業の資産要件は「直近の年度決算」の内容で判定されるため、決算期(決算月)の設定は許可更新の結果を大きく左右します。決算期は会社が定款で自由に選べるうえ、後から定款変更によって変更することも可能です。本記事では、決算期と資産要件の関係、そして決算期を選ぶ・変更する際に押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
この記事のポイント
- 決算期は会社が定款で自由に定められる「事業年度の区切り」
- 派遣事業の資産要件は「直近の年度決算」の内容で判定される
- 決算期の直前に資産状況が悪化すると、更新時に不利になりうる
- 決算期は定款変更で変更可能(税理士・司法書士へ要確認)
- 年度決算が未達でも、月次・中間決算による救済ルートがある
決算期とは
決算期とは、会社が1年間の事業年度の区切りとして定める決算日のことで、3月末や12月末など会社が定款で自由に定めることができます。派遣事業の許可・更新審査では、この決算期に基づく直近の年度決算の内容によって、資産要件を満たしているかどうかが判定されます。
決算期は法律で固定されているわけではなく、会社設立時に任意で選べ、その後変更することも可能です。多くの会社は3月決算や12月決算を選んでいますが、派遣事業を営む会社にとっては単なる会計上の区切りにとどまらず、許可更新の審査タイミングを左右する重要な要素になります。この関係について、次の項目で詳しく説明します。
決算期はなぜ資産要件に影響するのか
結論として、決算期の直前に資産状況が悪化していると、その状態のまま直近の年度決算が審査対象になるため、更新にあたって不利になりうります。逆に、決算期の時点で資産状況を整えておければ、審査上有利に働きます。
派遣事業の資産要件は、①現預金1,500万円以上、②基準資産額2,000万円以上、③基準資産額が負債の7分の1以上、の3つで構成されており、これらはすべて年度決算書の数値をもとに判定されます。つまり決算日というのは、いわば「その日の資産状況で成績が確定してしまう日」にあたります。資産要件を含む許可基準の詳細は、厚生労働省「労働者派遣事業・職業紹介事業」のページで公表されています。
そのため、決算期がいつであるかによって、資産状況が良いタイミングで審査を受けられるか、悪いタイミングで審査を受けることになるかが変わってきます。事業年度の途中で一時的に資産が減る予定がある場合は、決算期との位置関係をあらかじめ確認しておくことが望ましいでしょう。
決算期は自由に変更できるのか
結論として、決算期は定款変更によって変更することができます。これは特別な事情がなくても行える、一般的な会社の実務です。
一般的には、株主総会の決議で定款上の事業年度を変更し、あわせて税務署など関係機関への届出を行うという流れになります。決算期の変更自体は法律上珍しいことではなく、資産要件の判定タイミングを見直す目的で変更を検討する会社もあります。
ただし、具体的な変更手続きの詳細や届出先ごとの要否は、会社の状況によって異なる部分があります。本記事では手続きの詳細には立ち入りませんので、実際に変更を検討する場合は、税理士・司法書士にご確認いただくことをおすすめします。
資産要件・期限のご不安は、決算書1枚で無料診断できます ▶ 無料相談はこちら(電話 0120-459-839)
年度決算が悪くても更新はあきらめるしかないのか
結論として、あきらめる必要はありません。直近の年度決算で資産要件を満たせなかった場合でも、月次決算や中間決算をもとに資産要件を満たせば、再判定を受けられる救済ルートが用意されています。
これは、年度決算という1年に1度のタイミングだけで資産状況を固定的に判断すると、直前の一時的な資金繰りの悪化などで実態以上に不利な判定になってしまうケースがあるためです。月次決算・中間決算による再判定の具体的な要件や進め方については、別記事で詳しく解説しています。
したがって、決算期の位置づけを気にしすぎて身動きが取れなくなるより、決算期はひとつの目安としつつ、万一決算期時点で要件を満たせなかった場合の救済ルートも合わせて把握しておくことが実務上は現実的です。
決算期を選ぶ・変更するときの注意点
結論として、決算期を検討する際は、資産要件の判定タイミングと、事業の実態(繁忙期や資金繰りの波)の両方を見ながら考えることが大切です。
たとえば、資産が薄くなりやすい時期の直前に決算日を設定してしまうと、毎年その時期に更新審査上の緊張を抱えることになります。反対に、資産状況が比較的安定している時期に決算日を置ければ、審査のたびに一喜一憂することが少なくなります。あわせて、決算期の変更は事業年度そのものを動かすため、許可更新の提出期限(原則、許可満了の3か月前)にも影響しうる点は押さえておく必要があります。
決算期の変更を検討する場合は、資産要件との関係だけでなく、税務上の届出やスケジュール全体への影響も含めて、早めに税理士・司法書士へご相談されることをおすすめします。
FAQ(よくあるご質問)
決算期はいつでも自由に変更できますか?
株主総会の決議による定款変更で変更すること自体は可能です。ただし税務署など関係機関への届出も必要になるため、実務上は税理士・司法書士にご確認のうえ進めることをおすすめします。
決算期はどのように決めればよいですか?
資産状況が比較的安定している時期に決算日を設定する、業界の繁忙期を避ける、といった観点で検討されるケースが多いです。派遣事業の場合は、更新審査のタイミングとの関係も踏まえて検討するとよいでしょう。
決算期の直前に資産が悪化した場合、更新はあきらめるしかないですか?
あきらめる必要はありません。直近の年度決算で要件を満たせなくても、月次決算や中間決算で資産要件を満たせば再判定を受けられる救済ルートがあります。詳しくは別記事で解説しています。
決算期を変更すると、更新申請のスケジュールにも影響しますか?
決算期の変更は事業年度そのものを動かすため、決算のタイミングだけでなく、許可更新の提出期限(原則、許可満了の3か月前)にも影響しうる点にご注意ください。変更を検討する際は早めに専門家へご相談ください。
新しく派遣事業を始める場合、決算期はどう考えればよいですか?
これから会社を設立する場合は、資産要件の判定タイミングを見据えて、あらかじめ決算期を設計できるという利点があります。事業計画とあわせて、早い段階で税理士にご相談されることをおすすめします。
関連記事
関連記事
お役立ち情報一覧はこちら










