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合意された手続実施結果報告書とは

2026-08-19
合意された手続実施結果報告書とは(基礎知識)派遣事業更新センター

直近の年度決算では資産要件を満たせないが、増資などで今は満たしている——それを月次決算の数字で示すときに使うのが、合意された手続実施結果報告書です。発行できるのは公認会計士(又は監査法人)に限られます。月次決算書の残高を総勘定元帳や銀行残高証明書と突き合わせ、その手続と結果だけを書きます。発行する側から中身を説明します。

この記事の要点

  • 表題は「独立業務実施者の合意された手続実施結果報告書」で、構成は実務指針4450の文例に沿います
  • 更新申請で使えることは厚生労働省の許可・更新等手続マニュアルに明記されています
  • 残高に差異があっても報告書は発行され、差異金額が事実として記載されます

合意された手続実施結果報告書とは

合意された手続実施結果報告書とは、会社と公認会計士があらかじめ合意した手続を会計士が実施し、その内容と結果だけを記載して報告する書類です。労働者派遣事業等の許可の有効期間の更新審査で、月次決算書の残高が帳簿や証憑と一致しているかを所管労働局に示すために使われます。会計士の意見や結論は書きません。

更新申請で使えることは厚生労働省のマニュアルに明記されています。

「基準資産額又は自己名義の現金・預金の額が増加する旨を申し立てるときは、公認会計士又は監査法人による監査証明を受けた中間決算又は月次決算に加え、(中略)『合意された手続業務』を実施した中間決算又は月次決算でも可能となります。」

出典:厚生労働省「許可・更新等手続マニュアル

会計士が数字に太鼓判を押す書類ではなく、労働局が判断する材料を第三者が確かめて並べた書類です。

なお、資産要件を満たす道はこの報告書だけではありません。増資をしてから月次決算で示す方法もあります(その場合も本報告書または監査証明が必要です)。どちらが現実的かは、許可の満了日までの残り期間で決まります。全体の段取りは派遣事業の許可更新の完全ガイドにまとめています。

報告書には何が書かれますか?

記載事項は日本公認会計士協会の専門業務実務指針4450「労働者派遣事業等の許可審査に係る中間又は月次決算書に対する合意された手続業務に関する実務指針」(第17項)が定めています。付録1の文例では、おおむね次の6つの要素が順に並びます。

要素 書かれること
表題・日付・宛先・差出人 表題は「独立業務実施者の合意された手続実施結果報告書」。宛先は文例では「取締役会 御中」
目的並びに配布及び利用制限 労働局の許可要件審査に資する目的と、更新審査の申請以外に使えず第三者へ配布できないこと
業務依頼者の責任 手続の十分性を判断し、実施結果から結論を導くのは会社の側であること
業務実施者の責任 合意した手続を実施して結果を報告する立場であり、指針4450に準拠すること
職業倫理・独立性・品質管理 倫理規則と独立性の要求事項を守り、品質管理基準報告書第1号「監査事務所における品質管理」に準拠すること
合意された手続及び実施結果 何と何を突き合わせたかという手続(標準5項目)と、手続ごとの結果。一致したか、差異があればその金額

このほか第17項は、監査でもレビューでもなく結論や保証を示さないという業務の特質などの記載も求めています。署名は担当した公認会計士の名前で入ります。会社と関係の深い会計士は署名できないため、顧問税理士に監査証明・AUPを依頼できない独立性のルールの確認が先です。

どんな手続を実施しますか?

税務申告で裏付けられた年度決算書を出発点に、月次決算書までの帳簿の連続性をたどる形で組み立てます。標準は5つです。

手続 突き合わせる相手
決算書と総勘定元帳の集計突合 各決算書の残高と総勘定元帳の勘定残高。不一致なら差異金額を明示
利益と税額の税務資料突合 税引前当期利益と法人税申告書別表四の写し、法人税等と納税証明書(その1・納税額等証明用)
現金及び預金の残高突合 総勘定元帳の残高と、銀行残高証明書・会社作成の手許現金有高表(金種別)
差異が出た場合の追加確認 会社から受けた差異の説明と、根拠となる関連証憑
期中増減からの1件抽出突合 売掛金・差入保証金・短期借入金など合意した科目の増減記録から取引を抽出し、日付と金額を証憑と照合

対象科目は案件ごとに合意します。年度決算書と税務申告資料が出発点、月次決算書と帳簿記録が終点という設計で、月次決算書が整わないと始められません。

残高が一致しなかったら報告書は出ないのですか?

差異があっても報告書は発行されます。合否を判定する書類ではなく、実施結果を事実として書くからです。欄には差異金額がそのまま載ります。

実務で多い差異は、月次決算のあとに計上した決算整理仕訳の反映漏れと、銀行残高証明書の発行日と月次決算日のズレの2つです。前者は総勘定元帳の再出力、後者は発行日を月次決算日に指定した残高証明書の取り直しで、たいてい解消できます。

ただし、差異金額が大きい場合や説明資料を用意できない場合は、労働局の審査で申し立てが認められないことがあります。報告書が出ることと申し立てが通ることは別です。差異の原因は依頼前に解消しておくのが実務上の近道です。

監査報告書とは何が違いますか?

違いは会計士が結論を述べるかどうかです。監査報告書には「適正に表示しているものと認める」意見が入りますが、合意された手続実施結果報告書には意見も結論も入りません。

観点 独立監査人の監査報告書 合意された手続実施結果報告書
述べること 適正に表示している旨の意見 実施した手続と、見つかった事実
保証 意見の形で保証を与える 保証を与えない
使う場面 新規許可の申請で労働局が案内する方法 更新申請で厚労省マニュアルに明記された方法

どちらを求められるかは申請種別と労働局の運用次第です。監査証明と合意された手続(AUP)の違いもご覧ください。

労働者派遣事業報告書と同じものですか?

別の書類です。労働者派遣事業報告書は様式第11号などで毎年出す定期報告で、派遣労働者数や賃金などの事業実績を報告します。合意された手続実施結果報告書は月次決算書の勘定残高を証憑と突き合わせた結果を書く書類で、派遣労働者の人数や就業時間、給与水準は書きません。

一緒に必要な書類はありますか?

報告書のほかに「経営者確認書」と「依頼資料一覧」がセットになります。

経営者確認書は、経営者が会計士に差し入れる記名捺印つきの書面です。実務指針4450が必須とする確認事項は、月次決算書と年度決算書の作成責任が経営者にあることと、手続の実施に必要な情報を全て提供したことの2点です(記載例は指針の付録2にあります)。当事務所ではこれに加えて、報告書を更新審査以外の目的に使わないことなどを確認しています。

依頼資料一覧は会社に準備してもらう資料で、当センターでは20項目を案内しています。登記簿謄本・定款・議事録、納税証明書(その1)、全口座分の銀行残高証明書、税務申告書一式、総勘定元帳、金種表などです。先に取りかかっていただきたいのは、取得に日数がかかる納税証明書・銀行残高証明書・金種表の3点です。更新申請の必要書類一覧(全17項目チェックリスト)もご確認ください。

いつまでに、いくらで発行できますか?

更新申請の提出期限は、労働者派遣事業・有料職業紹介事業とも、許可の有効期間の満了日の3か月前までです。有効期間はどちらも新規3年・更新後5年です。満了日を確認し、月次決算日を決めて決算書を作り、資料をそろえて会計士に依頼する順に進めます。

逆算の例を1つ挙げます。派遣の許可満了日が2027年5月31日なら、提出期限は2027年2月28日です。月次決算日を2026年12月末に置く場合、資料収集は1月中に終え、遅くとも2月上旬には会計士へ依頼する計算になります。全体像は派遣更新の完全ガイドで確認できます。

必要資料が揃えば最短2営業日で発行しています。費用は11万円(税込)〜です(※事業所数1・総資産2,500万円以内の事業者様の場合。規模に応じて個別お見積り)。内訳は合意された手続(AUP)の費用相場と内訳で開示しています。

よくある質問

合意された手続実施結果報告書の見本はどこで見られますか?

日本公認会計士協会の専門業務実務指針4450の付録1に更新申請用の報告書の文例、付録2に経営者確認書の記載例があり、指針のPDFで閲覧できます。実物は会社ごとの科目と金額が入ります。

合意された手続実施結果報告書は顧問税理士に作成してもらえますか?

合意された手続実施結果報告書を作成できるのは公認会計士または監査法人で、税理士資格では作成できません。では会計士資格を持つ顧問税理士なら作成できるかというと、独立性の壁があります。実務指針4450はこう述べています。

「合意された手続業務においては、通常、業務対象に責任を負う者に対する独立性は要求されない。また、取扱要領等の法令等においても、本業務の実施に当たり独立性を要求する旨の定めはない」

出典:日本公認会計士協会「専門業務実務指針4450」A1項

そのうえで指針4450は、この業務が監査証明の代替として当面認められているものであることを踏まえ、独立性の保持を求めています。倫理規則上、顧問契約で継続的な報酬を受けるなど独立性を損なう関係があると受嘱できません。なお、監査証明を受ける場合は公認会計士法第24条の制限が直接かかります。

合意された手続実施結果報告書を労働局以外に見せてもいいですか?

合意された手続実施結果報告書には配布及び利用制限の条項が入り、許可更新審査の申請に使う目的に限定されます。会社と所管労働局以外への配布は禁じられ、金融機関や取引先には出せません。

最短2営業日で発行します

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0120-459-839

(携帯電話からは 03-6427-5915)

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執筆者:田中 伸一(公認会計士・税理士)
田中公認会計士事務所 代表。派遣事業更新センターを運営し、許可更新に必要な監査証明と合意された手続実施結果報告書を発行しています。監査証明等の発行実績200件超、労働局 不受理ゼロ、更新率100%。
※更新率100%は、当センターが発行した証明書類による申請について、不受理・更新不可のご連絡を受けた事例がないことを指します(当センター調べ/当センターでお引き受けをお断りした案件・お客様がご依頼を取り下げられた案件を除く)。将来の結果を保証するものではありません。
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公開日:2026年8月19日/最終更新日:2026年8月19日

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